大阪を拠点に楽しむ3泊4日の夫婦旅行。
初日の梅田スカイビルと串カツ、2日目の伊勢神宮日帰り参拝に続き、3日目は近鉄電車に揺られて古都・奈良へと足を伸ばしました。
前日の伊勢への大冒険と比べると、大阪から奈良へは近鉄電車で一本、車窓の街並みを眺めているとあっという間に到着する近さです。
今回の奈良巡りは、駅を出てすぐの中央分離帯で置物のようにたたずむ鹿との出会いから始まり、興福寺の厳かな国宝仏像、一面エメラルドグリーンの池に佇む幻想的な浮見堂、森を抜けて訪れた春日大社、そして想像を遥かに超える巨大さを誇る東大寺の大仏殿へと歩みを進めました。

さらに旅の後半では、南大門の前で出会った人力車に乗って風情豊かな「ならまち」へ。
自分たちだけでは決して出会えなかった老舗の絶品グルメや名所を案内していただき、お土産に買い込んだ地酒と柿の葉寿司をホテルの部屋で楽しむ至福の夜まで、古都の奥深い魅力を余すところなく味わい尽くす1日となりました。
今回は、夫婦で実際に歩いて巡った充実の奈良日帰りモデルコースと、訪れて分かった見どころや楽しみ方のコツを余すところなくお届けします。
近鉄奈良駅からスタート!道路の中央分離帯にたたずむ鹿との出会い
大阪のホテルを出発し、近鉄電車に乗って古都の玄関口である近鉄奈良駅へと向かいました。

電車を降りて駅の外へ出ると、大都市・大阪の喧騒とは一変し、歴史ある古都ならではの穏やかで澄んだ空気が漂っています。

駅から奈良公園方面へ向かって緩やかな坂道をゆっくり歩き始めたとき、ふと道路の中央分離帯に目をやると、茶色い塊がちょこんと座り込んでいるのが見えました。
最初は「観光地だからあんなところにも鹿の置物やモニュメントを置いているのかな?」と思いながら眺めていたのですが、しばらく見守っていると、すっと首を動かして耳をパタパタと揺らし始めました。
「置物じゃなくて本物の鹿が生きて座ってるよ!」
まさか車が勢いよく行き交う大通りの真ん中で、これほど悠然とくつろいでいるとは思わず、みつえさんと顔を見合わせて思わず吹き出してしまいました。
奈良の街では人間と鹿がごく自然に共生しているのだということを、旅のスタート早々に実感させてくれる微笑ましい出会いとなりました。

そこから先へ進むにつれて、歩道の脇や街路樹の木陰など、至る所に鹿たちが姿を現し、私たちの目を楽しませてくれました。
興福寺の国宝仏像と、一面緑の水面に佇む幻想的な「浮見堂」
坂を登りきった先で最初に訪れたのは、法相宗の大本山として名高い「興福寺」です。
境内へ足を踏み入れると、奈良のシンボルでもある有名な五重塔が目に入りましたが、現在は大規模な保存修理工事が行われており、巨大な素屋根と足場にすっぽりと覆われて中をうかがい知ることはできませんでした。

「せっかくここまで来たのだから、何も見ずに出るのももったいないね」と話し、堂内を拝観できるお堂へと進みました。

堂内に一歩足を踏み入れると外の暑さがすっと和らぎ、静寂の中に息を呑むほど立派な4体の国宝仏像が堂々と安置されていました。
千年以上もの時を超えて受け継がれてきた彫刻の美しさと迫力に圧倒され、歴史の深さを肌で感じながらじっくりと手を合わせました。
興福寺を後にした私たちは、木々が生い茂る奈良公園の散策路をのんびりと進んでいきました。
木立の合間には、小さな屋根が連なる可愛らしい建物がいくつか点在しており、後で調べてみると鹿たちが夜や雨の日に体を休める「鹿のねぐら(鹿の宿)」とのことでした。
自然の中で暮らす鹿たちに配慮された穏やかな風景に癒されながら歩いていくと、視界が一気に開け、目の前に大きな池が現れました。
その池を見た瞬間、私たちは思わず足を止めて声を上げました。

池の水面が、まるで絵の具を溶かしたかのように一面鮮やかなエメラルドグリーンに染まっていたのです。
今まで全国各地の観光地を旅してきましたが、これほど見事に一面が緑色をした水面は見たことがありませんでした。
その緑色の池(鷺池)の中央には、六角形をした檜皮葺きの優美なお堂「浮見堂」が、まるで水面にふわりと浮かぶように静かに佇んでいました。

その絵画のような幻想的な景色に見とれていると、さらに驚くべき光景が目に飛び込んできました。
なんと、岸辺にいた一頭の鹿が、迷うことなくその緑色の水の中へとすいすい降りていったのです。

「えっ、鹿が池に入っていくよ!そんなに浅いの!?」
みつえさんと目を丸くしながら見守っていると、鹿は何食わぬ顔で浅瀬を歩いており、思わず笑ってしまいました。
木橋を渡って浮見堂の中へ入ると、吹き抜けの空間には心地よい涼風が吹き抜けており、中央に用意されたベンチに腰掛けてひと息つきました。

歩き続けて少し火照った体を休めるのにこれ以上ない贅沢な休憩スポットとなり、水面に映る緑とお堂の美しさを存分に堪能しました。
森を抜けて春日大社へ参拝、そして大迫力の東大寺大仏殿
浮見堂で心地よい風に吹かれながら体力をチャージした後は、春日大社へ向けて再び歩き始めました。
広大な敷地を誇る奈良公園の中は、スマートフォンで地図を検索しても公園内の細い散策路まではうまく案内してくれません。

遥か奥の方に小さく見える参拝者の姿を目印にしながら、「公園が広すぎてなかなか遠いね」と話しながら木漏れ日の小道を進みました。
少しずつ傾斜のある山道へと変わり、朱塗りの鮮やかな社殿が美しい「春日大社」へとたどり着きました。

深い原生林に抱かれた神聖な空気の中で参拝を済ませ、続いて世界遺産「東大寺」を目指して北へと歩みを進めました。
参道を歩いている間は生い茂る木々に遮られて姿が見えませんでしたが、拝観受付を抜けて中門をくぐると、目の前に巨大な大仏殿がその全貌を現しました。

かつて訪れた比叡山延暦寺の根本中堂も壮大なスケールでしたが、東大寺の大仏殿はそれを遥かに凌駕する圧倒的な巨大さです。
思わず見上げる首が痛くなるほどの大きさに感嘆しながら堂内へと足を踏み入れると、中央には堂々たる体躯を誇る「奈良の大仏様(盧舎那仏)」が鎮座されていました。

堂内は大仏様の周囲をぐるりと一周して見学できる構造になっており、正面からはもちろん、斜めや側面、背後など、様々な角度から大仏様を見上げることができます。
角度によって少しずつ表情を変える慈悲深いお顔と、重厚な蓮華座の彫刻をじっくりと眺めながら、当時の人々が注ぎ込んだ信仰の熱量と技術の高さに深く感動しました。

大仏殿を出た後は、セット券になっていた「東大寺ミュージアム」へ立ち寄り、貴重な寺宝や東大寺の創建にまつわる歴史を学びました。
その後、参道を戻って国宝の「南大門」へと向かいました。

南大門は鮮やかな朱塗りの門とは対照的に、木肌の色がそのまま残る素木造りで、長い年月風雨に晒されてきた歴史の重みと風格が漂っています。
門の両脇に構える金剛力士像の筋骨隆々とした迫力ある姿を見上げながら門を抜けると、参道にはたくさんのお土産屋さんと出店が連なり、大勢の観光客で賑わっていました。


道端では、鹿せんべいを買った観光客めがけて鹿たちが容赦なく群がり、半ば奪い取るようにしておねだりするユーモラスな光景が広がっており、見ているだけでも飽きない楽しさがありました。
人力車に乗って風情あふれる「ならまち」へ!名物柿の葉寿司とお餅の出会い
南大門前の賑やかな通りを進んでいたとき、爽やかな笑顔の人力車のお兄さんから声をかけられました。

普段なら自分たちで歩いて回るところでしたが、「情緒ある『ならまち』の奥までご案内しますよ」という魅力的な提案に惹かれ、思い切って人力車に乗せてもらうことにしました。

高い座席に揺られながら心地よい風を受けて走る体験は想像以上に快適で、お兄さんが道中で教えてくれる奈良の歴史や隠れた名所、街並みの解説はどれも興味深いものばかりでした。
自分たちだけで歩いていたら決して気付かずに通り過ぎていたであろう路地や見どころを案内してもらい、「人力車は決して安い料金ではないけれど、旅の価値と満足度を何倍にも高めてくれる素晴らしい仕掛けだな」と心から感じました。
ならまちに到着して人力車を降りた後は、古い町家が美しく残る通りを散策しました。
お昼ご飯を兼ねて立ち寄ったのは、老舗「平宗」の柿の葉寿司です。

青々とした柿の葉に包まれたお寿司をめくると、程よく締められた鯖や鮭の豊かな香りが広がり、優しい甘みの酢飯と絶妙に調和して一口ごとに笑顔がこぼれる美味しさでした。
さらに、三条通り沿いの「中谷堂」へ立ち寄り、名物のつきたてのお餅をいただきました。

出来立てで温かく、驚くほどふんわりと柔らかいお餅に香ばしいきな粉がたっぷりとかかっており、散策で歩き疲れた体に優しい甘みが染み渡りました。
人力車のお兄さんからはおすすめのかき氷屋さんも教えていただいていたのですが、残念ながらお店の名前を失念してしまい、今回は立ち寄れずじまいとなりました。
それでも、商店街のサンマルクカフェでアイスコーヒーを飲みながらひと休みし、充実した奈良の時間を過ごすことができました。

ならまちの風情ある街並みとお土産選びを存分に堪能した私たちは、近鉄奈良駅前の東向商店街にある「柿の葉すし本舗たなか」へ立ち寄り、ホテルで楽しむ夜のおつまみ用として柿の葉寿司を買い求めました。

さらに、ならまちの老舗酒蔵「春鹿」の純米酒も手に入れ、大切に抱えながら大阪の宿泊先へと戻りました。
ホテルの部屋に戻った後は、冷房の効いた涼しいお部屋でくつろぎながら、奈良で買い揃えた晩酌セットをテーブルに広げました。

包みを開けた柿の葉寿司をつまみながら、すっきりとしたキレと米の旨味が広がる春鹿を口に運ぶと、日中の楽しかった思い出が鮮やかによみがえってきます。
時間が経つにつれて柿の葉の風味が酢飯に深く馴染み、地酒との相性も抜群で、夫婦で語り合いながら最高の夜の晩酌を楽しむことができました。
今回立ち寄ったスポット・店舗の詳細情報
今回の奈良巡りで実際に訪れた施設や店舗の基本情報です。旅の計画の参考にぜひご活用ください。
1. 興福寺(こうふくじ)
天智天皇8年(669年)創建、法相宗の大本山。国宝館や東金堂など、貴重な仏教美術の宝庫です(五重塔は令和の大修理中)。
- 所在地:奈良県奈良市登大路町48
- 電話番号:0742-22-7755
- 拝観時間:9:00~17:00(最終受付 16:45)
- 拝観料金:境内散策無料、中金堂 大人500円 / 中高生300円 / 小学生200円
- アクセス:近鉄奈良線「近鉄奈良駅」東出口から徒歩約5分
- 公式サイト:https://www.kohfukuji.com/
2. 浮見堂(鷺池)
奈良公園の浅茅ヶ原南端、鷺池に浮かぶ六角堂。
水面に映る堂の姿が美しく、四季折々の風情と心地よい風を感じられる絶好の休憩スポットです。
- 所在地:奈良県奈良市高畑町(奈良公園内 鷺池)
- 拝観時間:散策自由(夜間ライトアップあり)
- 拝観料金:無料
- アクセス:近鉄奈良線「近鉄奈良駅」から徒歩約15分、または市内循環バス「春日大社表参道」下車徒歩約5分
3. 春日大社(かすがたいしゃ)
全国に約3,000社ある春日神社の総本社。世界遺産「古都奈良の文化財」の1つであり、朱塗りの社殿と無数の灯籠が並ぶ神聖な杜です。
- 所在地:奈良県奈良市春日野町160
- 電話番号:0742-22-7788
- 参拝時間:7:00~17:00
- 初穂料:境内参拝無料、御本殿特別参拝 500円
- アクセス:近鉄奈良駅から奈良交通バス「春日大社本殿」行きで約11~15分、終点下車すぐ
- 公式サイト:https://www.kasugataisha.or.jp/
4. 東大寺(とうだいじ)
聖武天皇により建立された華厳宗大本山。
国宝・大仏殿は世界最大級の木造建築物であり、堂内には「奈良の大仏様」として親しまれる盧舎那仏が鎮座します。
- 所在地:奈良県奈良市雑司町406-1
- 電話番号:0742-22-5511
- 拝観時間:7:30~17:30
- 拝観料金:大仏殿単体 大人(中学生以上)800円 / 小学生400円(大仏殿・ミュージアム共通券 大人1,200円 / 小学生600円)
- アクセス:近鉄奈良線「近鉄奈良駅」から徒歩約20分、または市内循環バス「東大寺大仏殿・春日大社前」下車徒歩約5分
- 公式サイト:https://www.todaiji.or.jp/
5. 柿の葉ずし総本家 平宗 奈良店
文久元年(1861年)創業の老舗。
ならまちの風情ある日本家屋で、伝統の柿の葉寿司をはじめ季節の郷土料理を店内でゆっくり味わえます。
- 所在地:奈良県奈良市今御門町30-1
- 電話番号:0742-22-0866
- 営業時間:11:30~20:00
- 定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
- アクセス:近鉄奈良線「近鉄奈良駅」から徒歩約8分、JR「奈良駅」から徒歩約15分
- 公式サイト:https://hiraso.jp/
6. 柿の葉すし本舗たなか なら本店
近鉄奈良駅前の東向商店街入口に位置し、お土産やテイクアウトに立ち寄りやすい人気店。
さば・さけ・鯛など彩り豊かな柿の葉すしが揃っています。
- 所在地:奈良県奈良市東向中町5-2(東向商店街入口・行基像噴水前)
- 電話番号:0742-81-3651
- 営業時間:9:00~19:00
- 定休日:無休
- アクセス:近鉄奈良線「近鉄奈良駅」東口改札上がってすぐ
- 公式サイト:https://www.kakinohasushi.co.jp/shop/nara/
7. 中谷堂(なかたにどう)
名物の「高速餅つき」で全国的にも有名な三条通りの和菓子店。つきたてで温かく、驚くほど柔らかいよもぎ餅(きな粉・粒あん)をその場で味わえます。
- 所在地:奈良県奈良市橋本町29(三条通り沿い)
- 電話番号:0742-23-0141
- 営業時間:10:00~18:00(※売切れ次第終了)
- 定休日:不定休
- アクセス:近鉄奈良線「近鉄奈良駅」から徒歩約5分
- 公式サイト:https://nakatanidou.jp/
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