思わぬ6連休をいただき、急遽夫婦で出かけることになった大阪・伊勢・奈良の3泊4日旅行。
初日の梅田スカイビルと串カツを満喫した翌日、2日目の朝を迎えた大阪の空には台風が接近しており、西日本一帯はぐずついた天候が予想されていました。
「せっかくのお休みなのだから、できるだけ雨が降らない場所へ行こう」と朝から各地の雨雲レーダーと天気予報を念入りにチェックしたところ、三重県の伊勢志摩方面は概ね曇りで傘マークすらついていないことが分かりました。
そこで大阪を拠点にした2日目は、古くから日本人の心のふるさととして親しまれてきた「伊勢神宮」へ日帰りでお参りすることに決めました。
今回は、朝の特急券完売から始まった普通電車乗り継ぎの大冒険から、外宮・内宮の厳かな参拝、賑わうおはらい町での名物グルメ、そして猿田彦神社への巡拝まで、リアルな体験と魅力たっぷりの1日をお届けします。
台風回避と特急券完売!普通電車5回乗り継ぎのローカル旅
伊勢神宮への日帰り旅を決めたものの、まずは移動手段の手配が必要でした。
大阪から伊勢方面へ向かうお得な切符として、近鉄の乗車券・特急券と現地の三重交通バス乗り放題がセットになった便利な企画乗車券があることを発見したのですが、利用規約をよく確認すると「前日までの購入が必須」となっており、当日の朝には購入できないことが判明しました。
「それなら当日Webで特急券だけ買えば大丈夫だろう」と考え、近鉄の駅へと向かいました。
ところが、お盆休みの時期ということもあって近鉄特急の指定席はすでに満席で、直近の便の特急券を購入することができませんでした。

改札口の駅員さんに相談したところ、「まずは鶴橋駅まで移動し、そこから普通電車や急行を乗り継いで東へ向かってください」とアドバイスをいただきました。

こうして、車内や途中の駅で特急券の空席を探しながらも結局確保できず、伊勢市駅まで普通電車を乗り継ぐローカル線の旅がスタートしました。

乗り換えはなんと合計5回に及び、朝9時に大阪のホテルを出発してから、ガタゴトと揺られること約4時間余り。
車窓を眺めていると、遠くの空に真っ黒な雨雲が立ち込めて激しい雨が降る様子が見えたり、急に車窓を強い雨粒が叩きつけたりする場面もありました。

しかし不思議なことに、私たちが乗り換えのためにホームへ降り立つ駅や、電車が進む先では雨がぴたりと止み、傘を広げる必要が一度もありませんでした。
「特急に乗れず普通電車でのんびり時間をかけて進んだからこそ、ちょうど激しい雨雲の通過タイミングをうまくかわせたんじゃない?」
車内で窓の外を眺めながらみつえさんと顔を見合わせ、「怪我の功名だね」と笑い合いました。
ハプニングから始まった移動でしたが、のどかな沿線の風景を眺めながら過ごす時間はどこか心地よく、午後1時過ぎに無事、伊勢市駅へと到着しました。
巨木と深い杜に包まれる「外宮(豊受大神宮)」の静寂

伊勢市駅を降り立った私たちは、伊勢参りの昔からの習わしに倣い、まずは駅から歩いて約5分ほどの場所にある「外宮(豊受大神宮)」へと向かいました。

外宮は、衣食住をはじめすべての産業の守護神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)をお祀りする神聖な場所です。
表参道の火除橋を渡って鳥居をくぐり、一歩神域へと足を踏み入れた瞬間、駅前の喧騒が嘘のようにすっと消え去りました。

真夏の日差しを優しく遮る深い木立がどこまでも広がり、見上げるほどに太くまっすぐに伸びた杉の巨木が立ち並んでいます。
玉砂利を踏みしめる心地よい足音と、頭上から降り注ぐ蝉の声、そして澄んだ清らかな空気に包まれながら歩くだけで、日頃の疲れや移動の疲れが自然と解きほぐされていくのを感じました。
正宮へ進み、白い御幌(みとばり)が風に揺れる前で静かに手を合わせ、日々の平穏と感謝をお祈りしました。
森の豊かなマイナスイオンを全身に浴びながら行う外宮の散策は、まさに心洗われる極上の森林浴体験となりました。
30年ぶりの「内宮(皇大神宮)」と五十鈴川の神聖な祈り
外宮の参拝を終えた後は、外宮前のバス乗り場から三重交通バスに乗り込み、約20分ほど揺られて「内宮(皇大神宮)」へと移動しました。

内宮は、日本人の総氏神として崇められる天照大御神(あまてらすおおみかみ)をお祀りする、伊勢神宮の中心となるお宮です。
バスを降りて五十鈴川に架かる美しい木造の宇治橋を渡ると、目の前には広大で神々しい神域が広がっていました。
私自身が内宮を訪れるのはおよそ30年ぶりでした。
当時は観光客の姿もまばらで、静まり返った境内の厳かさが強く記憶に残っていましたが、今回は全国各地から訪れた大勢の参拝者で賑わっており、活気に満ちあふれた神宮の姿がとても新鮮で印象的でした。
参道を進み、手水舎だけでなく五十鈴川の清らかな流れで直接手を清める「御手洗場(みたらし)」へ立ち寄りました。

少し濁った川の水意外に冷たく、真夏の火照った肌を心地よく冷やしてくれます。
豊かな木々に囲まれた石段を登り、正宮の前に立つと、多くの参拝者が訪れていながらも不思議と背筋が自然に伸びるような厳粛な空気に包まれます。

家族の健康と旅の安全を願って心を込めてお参りを済ませた後、神楽殿の社務所へ立ち寄って参拝の証である御朱印をいただき、記念となるお守りを選びました。
活気あふれる「おはらい町・おかげ横丁」で伊勢うどん&赤福を堪能!
内宮の参拝を終えた後は、宇治橋前から続く風情ある門前町「おはらい町」と「おかげ横丁」の散策へと繰り出しました。

江戸から明治期の伊勢路の町並みが美しく再現された通りには、名物グルメや工芸品のお店が軒を連ね、多くの観光客の笑顔と活気で満ちていました。
気がつけば朝から電車を乗り継いできたためお昼ご飯を食べておらず、お腹もすっかり空いていました。
観光地のメイン通り沿いのお店は1杯1,000円前後するところも多い中、ふと見つけたお店に入ってみると、1杯約650円という非常に良心的なお値段で名物の「伊勢うどん」を提供していました。

運ばれてきた丼を見てまず驚いたのは、底に張られた漆黒の濃厚なタレです。

普段食べ慣れている福岡の澄んだ出汁のうどんを見慣れていると、真っ黒な見た目に最初は少し驚きましたが、一口すすってみると塩辛さはまったくなく、たまり醤油と出汁のまろやかな甘みとコクが口いっぱいに広がりました。

極太でふんわり柔らかいモチモチの麺にタレがしっかり絡み、見た目以上の食べやすさと美味しさに夫婦そろって大満足しました。
続いて目指したのは、参道沿いでひときわ風情ある佇まいを見せる「赤福」のお店です。

注文を済ませて案内されたのは、五十鈴川の穏やかな流れを目の前に望む特等席の縁側でした。

川面を渡る涼しい風を感じながら、香ばしい番茶とともに味わう出来立ての赤福は格別で、なめらかなこし餡と柔らかいお餅の上品な甘みが、歩き疲れた体に染み渡る最高のひとときとなりました。
みちびきの神「猿田彦神社」参拝と快適な特急での帰路
美味しい名物グルメとお茶で元気をチャージした後は、おはらい町の賑やかな通りをさらに奥へと進み、大通りを渡った先にある「猿田彦神社」へとお参りしました。

猿田彦神社は、物事の始まりに最も善い方向へみちびいてくださる「みちびきの神様」として篤く信仰されている神社です。
境内の中央にある方位が刻まれた八角形の石柱(方位石・古殿地)に触れて開運を祈願し、静かにお参りを済ませました。
参拝後は神社前のバス停から再びバスに乗り、夕方の伊勢市駅へと戻りました。
帰りの移動については、行きの普通電車の乗り継ぎで苦労した教訓を生かし、事前にしっかりと近鉄特急の指定席を確保していました。

夕暮れ時の特急電車に乗り込むと、座席はゆったりとしていて冷房も効いており、乗り換えの心配を一切することなく座っているだけで大阪まで運んでくれる快適さに、夫婦で心から感謝しました。
夜には新大阪駅へ無事に戻り、駅近くの居酒屋で熱々のだし巻き卵や新鮮なお刺身、ポテトなどを囲みながら冷えたビールで乾杯しました。

台風の雨雲を巧みにかわしながら、神聖な祈りと歴史、そして美味しい郷土グルメを堪能できた、忘れられない素晴らしい2日目の旅となりました。
【基本情報】
1. 伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)
- 施設名:伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)
- 所在地:三重県伊勢市豊川町279
- 電話番号:0596-24-1111(神宮司庁)
- 参拝時間:5:00~18:00(※5月~8月は5:00~19:00、10月~12月は5:00~17:00)
- 参拝料金:無料
- アクセス:JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」から徒歩約5分
2. 伊勢神宮 内宮(皇大神宮)
- 施設名:伊勢神宮 内宮(皇大神宮)
- 所在地:三重県伊勢市宇治館町1
- 電話番号:0596-24-1111(神宮司庁)
- 参拝時間:5:00~18:00(※5月~8月は5:00~19:00、10月~12月は5:00~17:00)
- 参拝料金:無料
- アクセス:「伊勢市駅」または「外宮前」から三重交通バス(内宮前行き等)で約20分、「内宮前」下車すぐ
3. 猿田彦神社
- 施設名:猿田彦神社
- 所在地:三重県伊勢市宇治浦田2-1-10
- 電話番号:0596-22-2554
- 参拝時間:境内参拝自由(授与所・ご祈祷受付は8:30~17:00)
- 参拝料金:境内参拝無料
- アクセス:内宮(おはらい町終点)から徒歩約10分、または三重交通バス「猿田彦神社前」下車すぐ
【おすすめのモデルルート】
古くからの習わし通り「外宮」から先に参拝し、バスで「内宮」へ移動してお参りした後に「おはらい町・おかげ横丁」で昼食や甘味を楽しみ、そのまま歩いて「猿田彦神社」へ抜けるルートが最もスムーズでおすすめです。


コメント